所長コラム(84)「人それぞれの楽しみ方」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。
そうそう。前回のコラムで「今年は梅雨入りが早い」なんて書いてしまいましたが、関東地方はここにきてようやくの梅雨入りだったんですね。失礼しました!

さて前回は、スポーツなどに取り組んでいたとして、どういう時に楽しいと感じるか、ということを書きました。そしてその感じ方は昔と変わったりしていないか?とも書きました。

そうなんです。スポーツの楽しみ方は、同じ人でも環境が変われば違ってくると思うのです。
また、その人が置かれている状況によっても変わるはずです。例えば体格や年齢、ライバル関係などによっても変わってきます。
バレーボールやバスケットボールの場合、やはり高身長の選手の方が有利であることは間違いありません。
その中でそこまで背が高くない選手であれば、「高身長の選手たちに混じりながらも、こういうプレーができた」とか「こういう形でチームに貢献できた」ということが楽しみになるのかもしれません。

一方、今のスポーツの統括団体(日本“スポーツ名”協会など)にいる方々は、その競技のエリート選手だった人が多く、基本的に現役時代に成績優秀だった方が少なくありません。
そういう方はどうしても「勝つことに意味がある」あるいは「勝たなければ面白いはずがない」などと考えてしまいがちです。
競技者たるもの日本一を目指せ…という訳ですね。
ですが、誰もが日本一を目指してスポーツをしているか?と考えれば、必ずしもそうではないということは簡単にわかると思います。
それでも、それぞれにスポーツの楽しさを感じながら続けていらっしゃる訳です。
ゴルフでドライバーショットで会心の一打を打てればスコアが悪くても楽しかったな…と思う人もいますよね。

また、日本一になれなかったらダメな選手なのか?ということでもないことも自明だと思います。
1984年のロサンゼルスオリンピックと1988年のソウルオリンピックでの柔道重量級金メダリストであった斉藤仁さんは、同時期に同じくロサンゼルスオリンピック無差別級の金メダリストである山下泰裕さんに、全日本柔道選手権大会の決勝で三度敗れるなど、8回戦って全て負けています。
でも斉藤仁さんがダメな選手であったかと言えばそんなことはありませんよね。

同じことは子どもたちにも言えると思います。
子どもたちの場合には、大人以上に、勝つことよりも昨日までできなかったことができるようになることが楽しさだったりします。
大人の事情を押し付けることなく、子どもたちが伸び伸びとスポーツに取り組む社会を目指していきたいものです。
斉藤さんは指導のモットーとして「チャンピオンは勝者だが、チャンピオンだけが勝者ではない、3、4年の部活動の中で自分の力を出し切る努力を成し遂げた人もまた勝者」「たとえレギュラーになれなくても、柔道をやっていて良かったと思える修行の仕方をして貰いたい」とおっしゃっていたことも添えさせていただきます。

次回は「さあ、オリンピック・パラリンピック」というテーマで書きたいと思います。

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