所長コラム(86)「正しく恐れること」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。
さて前回は、新型コロナウィルス感染症の新型株の持ち込みや、流行の再燃をオリンピック・パラリンピックのせいとするのは無理があるのでは?ということを書きました。

医療の最前線で奮闘されている皆様のご努力には本当に頭が下がる思いです。
ただ、そのような状況を招いたのは、日常的にリスクに対応する体制を整えていなかった行政の問題ではないかと私は考えています。
確かに平時から余剰の医療体制を常備することはコストなど含めて無駄ですが、新規の感染症などで緊急に医療体制を増強する必要が生じる場合があることは普通に見通せたはずです。
その準備を怠り、結局1年以上にわたって脆弱な緊急医療体制のまま進まなければいけない状況の方が疑問と将来に向けた恐怖を感じます。

また、確かに当初は、急速に重篤化してしまうことや著名人が亡くなったこともあってショックを受ける人も多かったと思いますが、ここにきてだいぶ新型コロナウィルスのことはわかってきています。
特に日本では重症患者や死亡者の絶対数は、やはり諸外国に比較して少ないと思います。
マスクをしてフィジカルディスタンスを確保することで飛沫を可能な限り防ぎ、うがい・手洗いを励行し、手指消毒をよく行う、特に自分の目・鼻・口などに触れる前に手をきれいにすることで、かなり感染は防げる(というか、日常的にできる感染対策はこれに尽きる)ようです。
元々のこの主旨を理解すれば「3密」ではないにしても、公園でマスクを外して大声で話していればリスクになることは容易に理解できるはずです。
「3密」という言葉が独り歩きしてしまった感は否めませんが、私たちが正しく恐れることによって、新型コロナウィルスを過剰に恐れる必要はなくなるはずです。

既に世界各国で、スポーツの有観客試合は開催されています。
競技場内でのクラスター事例はほとんど報告されていません。
つまり、スポーツイベントそのものが問題なのではなく、その会場内や観戦前後での私たちに振る舞いが重要なのだと思います。

おっと、オリンピック・パラリンピックについて全く触れないうちに、文章が終盤に近付いてしまいました。
予てよりお伝えしているように、オリンピック・パラリンピックは世界最高峰のアスリートが集い、その持てる能力をすべて出し切って戦う場です。
もちろん日本人の活躍は私もうれしいですが、仮に日本人が出ていなくても、機会があれば各競技の決勝戦を見ていただければと思います。
その競技の現在の世界最高の戦いです。ルールがよくわからなくても、そこには「うわっ!」と思わず声を出してしまうような、新しい発見や今までにない感動があると思います。

次回は「次はパラリンピック」というテーマで書きたいと思います。

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