所長コラム(98)「東京2020大会私なりの総括⑧」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

さて今回も、前回に引き続いて東京2020大会について書きたいと思います。

前回、東京2020大会はFAというグループに分かれて運営したことを書きましたが、その中に会場設営を行うチームがいくつかありました。

通常の大会とはことなり、多くの人が参加するオリンピック・パラリンピック大会ですので、ほとんどの会場では仮設のプレハブやテントを建て、追加で電源を敷設し、情報通信網を強化します。

この計画の初期の段階では私もまだいなかったのですが、聞いたところでは「基本的にはこれだけの施設・設備を準備するように」という指示をIOCやIF(国際競技団体)から受けてそれを頭ごなしに了承してしまったようです。

本来であれば「この会場には○○名のスタッフがいて、その他の来場者がこの程度いるので、万が一の時を含めてこの程度の準備をしよう…」と計画を進めていくやり方をするのですが、残念ながらその時はそういう流れにならなかったようです。

仮設物の強度も基本的に「このレベルの施設は風速○○mにも耐えられる形で設置する」などのレギュレーションに従って設置されていたのですが、それも「これは絶対に強度が必要」「これは危なければすぐ撤去できるのでそこまでではなくて構わない」といった柔軟さは感じられませんでした。

今回、強風対策のためチケットチェックのテントを鉄板に溶接したスポーツイベントを初めて経験しました。これも要件を満たすために仕方なかったようです。

最終的に多くの会場では無観客開催になった訳ですが、それに伴って不要となった仮設物(観客に向けた看板など)も、なぜだか「一度は設置された」ことも記憶しています。

(もちろん、組織委員会全体としての判断が遅すぎて、間際の変更や修正を余儀なくされたことが主要因であることは間違いありませんが)

私たちの会場ではよく話し合っていたので、各FAの会場担当者は無理や無駄があることを理解してくださったのですが、柔軟な計画変更はなかなか許さなれなかったようです…

次回も東京2020大会の私なりの総括を書きたいと思います。

コメントは利用できません。