所長コラム(97)「東京2020大会私なりの総括⑦」

皆様、あけましておめでとうございます。運動研究所の宮島です。

ついに2022年になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

東京2020大会が一年延期されたので今回だけなのですが、夏季オリンピック・パラリンピックが終わって年が明けるとすぐに冬季オリンピック・パラリンピック(今回は北京ですね)が来月には開催されます。

前回は韓国の平昌でしたので、三大会連続で、東アジア地域で開催されることになります。私自身も、その直前のスーパーボウルと併せてとても楽しみにしています。

さて、もう少し東京2020大会の総括を書いていきたいと思います。オリンピック(とパラリンピック)の運営はIOCの規定により、FA(Functional Area)と呼ばれるグループに分かれて遂行されました。

FAは、会場運営をするVEM(=Venue Management)や競技運営をするSPT(Sport)、会場の設営に責任を持つVNI(=Venue Infrastructure)を中心として、例えば飲食関係を担当するFNB(Food and Beverage)、選手や来訪者の輸送などを司るTRA(Traffic)、要人接遇のPRT(Protocol)、テクノロジーのTEC(Technology)、清掃や廃棄物処理関係のCNW(Clean and Waste)など、全部で52のFAに分かれていました。(実はこれら52のFAに含まれない業務もありました)

このやり方はそれぞれのFAがその専門性を高めていくことにより、多くの会場で高水準のサービスを提供できるようになるので2019年に開催されたラグビーのワールドカップでも採用されていました。

しかし…今回はそこにイベントの運営は初めてという人も多く参加します。そのため「各FAがやることはこれ」と最初に定めたらしいのですが、これが極めて不明瞭で漠とした内容でした。

さらに以前にも書きました通り、組織委員会内には責任を回避したがるメンバーが一定数いましたので、各FAが自分たちの中でそれぞれが「ここまでやればいい」と勝手に決めてしまう例も多くありました。

私が2019年に会場責任者として着任した時に「この部分はどのFAがやることになるのですか?」「これでは抜け漏れがありますよ」とチェックしていきましたが、計画修正を拒むFAもあり、難儀したものです。

この抜け漏れの部分を各FAがカバーしあうようになったのは本当に大会が近づいてきてからだったと記憶しています。

「仏作って魂入れず」という言葉がありますが、恐らくIOCも「このやり方がいい」とFA制度を導入しているのだと思います。

しかし、それをどう活用していくのか、実際に関わる人ができるのかを見極めることも重要だなと感じた例でした。

次回も東京2020大会の私なりの総括を書きたいと思います。

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