所長コラム(132)「ハラスメントを無くすには?」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

前回は、スポーツの世界ではハラスメントが横行してしまっているが、それは今後無くなっていくのだろうかということを書きました。今回もこの点について考えてみたいと思います。

暴力指導の問題については、

部活動での指導者による体罰や暴言などの行き過ぎた行動 今教育現場で求められる「変化」とは(2023年4月18日:静岡朝日テレビ)

「まだ殴られた方がマシだった」 子どもたちを精神的に追い詰める“ブラック部活” 体罰にかわるパワハラ指導への対策は?(2023年2月4日:TBS NEWS DIG)

部活での体罰なくすには? 指導者の“学びほぐし”気づきを(2023年1月21日:日テレニュース)

部活の体罰、なぜ絶えない? 専門家「悩ましいのは指導者の評価が競技成績という事実」(2022年11月5日:神戸新聞NEXT)

のように、頻繁にメディアでも取り上げられており、ある意味問題提起はなされています。従って、最早このような暴力指導をしてはいけないということは「頭ではわかっている」状態なのだと想像します。(もしそう思っていなかったら、より深い問題です)

ということは、暴力指導を行う人は「やってはならないとわかっているのに、やってしまう」ということになります。これは実は結構根が深い問題だと私は感じていて、暴力指導をしてしまう人は「このくらい、いいじゃん。(だってやりたいんだもん)」という考えが根底にあるのだと思います。「自分がしたいから」という欲求を抑えられず、行動に移してしまうということは、性的な暴行をする人のメンタリティと同じ方向にあるのではないかと思ってしまいます。

従って、そのようなメンタリティを持つ人に「それはやってはダメなこと」と伝えるだけでは効果が薄いのだと思います。(もちろん効果ゼロではないと思いますが、根絶にはつながりません)私は半世紀ほど生きてきて、人間が行動を改める最大の動機は「恥ずかしい」と思うことだと思いますので、ハラスメントを行う指導者がいた場合、周囲の人間、特に大人が「まだそのような指導しているのか」「そのような指導で勝ったところで、指導者としての評価は上がらない」と明確に否定することが重要ではないかと思います。また、誰かが指導者の味方になってしまうと、他の人間の指摘を無視することも往々にしてありますので、可能な場合には他の保護者の方や教員等とも情報を共有して、同じような指摘が数多く当該指導者のところに届くようにすることも重要でしょう。

世の中にはスポーツ競技は一つではありません。どうしても指導者が態度を改めない場合には、そのチームにいても楽しい競技生活を送ることはできないでしょう。もちろん本人の「その競技が好き」という気持ちはあるのだと思いますが、将来のためにもそのチームは見切って、他競技へのトライを考えてみるのが良いと思います。その意味でも小さい子どものうちは、一つの競技に絞るのではなく、多くの競技を経験させて、可能性を広げておくことは非常に大切だと思うのです。

次回は「国内リーグ」について書きたいと思います。

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