所長コラム(119)「なぜ冬の競技は厳しい状況なのか」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

今年もついに師走です。本当に月日が過ぎるのが早く感じます。年が明けて2023年はどのような年になるのでしょうか?パリオリンピックパラリンピックの前年ですから、参加資格を獲得するための予選も本格化してくるものと思います。目が離せない一年になりそうですね。

さて前回は、冬のスポーツが定着しない理由として施設、費用、そして興味という三点を挙げました。今回も引き続きこの点について書きたいと思います。

施設については、このような話になると「行政が支えればいいのではないか」という議論が起こります。ただし、一方で使われない施設を行政が公金を投入して維持することへの抵抗があるのも事実ですし、それは無理からぬことだと考えます。実際1998年の長野オリンピックで使用された「長野市ボブスレー・リュージュパーク(愛称=スパイラル)」は利用があまりに少なくて長野市が維持を継続することできなくなったとの報道もありました。

となると、次は「使う人が増えて支払う利用料が増えればいい」ということになる訳ですが、そもそも少ない競技人口である上に、少子高齢化です。また世帯当たりの所得は増えていませんので、施設としても「支払ってもらえる値付け」となると料金アップは苦しいです。そして、競技人口拡大を目指しているのは冬の競技だけではありません。(この点については次回に議論したいと思います)となると、各施設の収入は増えていきません。正直、世帯当たりの所得が大きくなって、可処分所得を増やすメンタリティが浸透するくらいにならないと、かなり難しいと言わざるを得ないと思います。

そして、知らない競技に興味を持ちにくいことについてです。これには一つの競技をずっと続ける人が多いことも関係していると考えています。特に、子どもの頃に何かの競技に熱中していると、指導者から「他のことを考えずに競技に打ち込む」ことを求められた世代が今親となっているので、次の世代にならないと多様な興味を是とする時代が来ないのではないかと危惧しています。現在我々の法人では少しずつ競技の面白さをお伝えするコンテンツ作成に取り組み始めました。もしご興味あればご覧いただければと思います。

次回は「競技人口を増やすこととは?」について書きたいと思います。

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