所長コラム(105)「○○男爵」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

今日は大型連休の谷間の日ですね。お休みが比較的自由に調整できる方ですと、2日と6日を休みにして9連休となりますね。ゆっくりされている方も多いかと思います。

さて、今月は少し前の話になりますが、昨年夏に開幕されたオリンピックについて思い出したいと思います。当時は新型コロナウイルス感染症の第5波の真っただ中であったのですが、それでもオリンピック(とパラリンピック)を開催するのか?という議論がなされました。その議論の中で「アメリカからの多額の放送権料が失われるので、IOCにとってやめるという選択肢はない」という論調がありました。この議論を今ここで改めて行うつもりはございませんが、事実として、アメリカの放送権料が非常に多額であり、IOCの収入の大部分を占めています。

情報ソースの時期がずれているので明確に比較することは難しいのですが、まず2013~16年のIOCの収入は57億ドル(約6270億円:1ドル=約110円で計算、以下換算レートは同じ)で、その73%(約41.61億ドル)を放送権料が占めたとIOCのHPには掲載されています。

また報道によると、2012年夏のロンドン大会から、ソチ大会(2014年冬)、リオデジャネイロ大会(2016年夏)、平昌大会(2018年冬)、そして1年延期された東京大会(2020年⇒2021年夏)までの5大会で米国NBCが支払った放送権料は総額43.8億ドル(約4818億円)であったようです。夏の大会と冬の大会を同じ価値とは考えにくいのですが、ここでは単純に5大会中の4大会として計算した場合、4大会分として35.04億ドル(約3854.4億円)となり、上記41.61億ドルの約84.2%を米国の1放送局が負担していることになります。この35.04億ドルは総収入57億ドルの約6割を占めていることになります。

ちなみに日本の場合、NHKとほとんど全ての民間放送局とで構成される「ジャパンコンソーシアム(JC)」という連合体でIOCと放送権契約を締結していますが、これも発表によると平昌、東京、北京に2024年夏のパリ大会を加えた4大会に対して1100億円であるようです。数字だけ見ると米国の1/3と決して少ない放送権料ではありませんが、この金額には自国開催大会を含めて時差が少ないアジア圏での3大会の権利が含まれていますので、通常より増額されていると予想されます。米国NBCが対象としていた5大会で同じ時間帯で開催されたのはリオデジャネイロ大会だけで、欧州とアジアでの開催がそれぞれ2大会ずつです。さらに言えば、NBCは一部の開催地が未定でありながら2022年冬の北京大会から2032年夏までの6大会を総額76.5億ドル(約8415億円:1ドル125円で換算すると約9562.5億円!)で契約しています。

なぜこのように米国の放送局は多額の放送権料を支払えるのでしょうか。

次回も引き続きこの点について書きたいと思います。

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