所長コラム(99)「東京2020大会、私なりの総括⑨」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

先週北京で冬季オリンピック・パラリンピックが開幕しました。

オミクロン株の蔓延もあってどのように開催されるのかを注意して見ながらも、世界トップの選手たちの戦いを興味深く、そして楽しく見ています。

アジア開催なので時差が少ないところはテレビ観戦をする身としては助かりますね。

さて、もう少し東京2020大会の総括を書いていきたいと思います。

ご存じの方も多いと思いますが、オリンピックという競技大会は、テレビ中継を非常に大切にしています。

全世界の放送局から得られる放送権料はIOCの収入の7割にも及ぶと言われておりますし、中でも米国のNBCが支払う放送権料が2022年のパリ大会から2032年までの夏冬6大会に対する米国内での放映権について、米NBCと76億5千万ドル(1ドル=115円とすると8797.5億円⇒1大会あたり1466億円余り)とされています。

日本の場合は、NHKと日本民間放送連盟(民放連)で構成するジャパン・コンソーシアム(Japan Consortium:JC)が、平昌・東京の2大会に対して660億円、北京・パリの2大会に対して440億円の合計1100億円を4大会に対して支払っていることを考えるといかに米国の放送権料が巨額であるかということがわかると思います。

このような放送権料をなぜ米国の放送局は支払うことが可能なのか?については別の機会に回したいと思いますが、IOCがテレビを大切にするのは、放送権料のことはもちろんですが、放送されることによる全世界へのオリンピック・ムーブメントの広がりを期待しているからです。

オリンピック憲章によると「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」とされており、「オリンピック・ムーブメントは、オリンピズムの価値に鼓舞された個人と団体による、協調の取れた組織的、普遍的、恒久的活動である」と記載されています。

つまり、オリンピズムという考え方に基づき具体化された活動がオリンピック・ムーブメントであり、スポーツを通して世界の平和を目指すということです。

世界のトップアスリートがより高みを目指して努力し、切磋琢磨しあう姿を世界に見せることは重要であるという考え方です。

そのために、世界最高峰の技術を導入して国際映像を作る専門家集団=オリンピック放送機構(Olympic Broadcasting Services:OBS)が派遣されます。

彼らはオリンピックの映像を全世界に配信することに誇りを持っており、非常に高いプロフェッショナル意識を持って組織委員会に接触してきます。

そのため、過去の大会では時に会場運営チームと衝突したり、大会直前であっても、仮設物の移設や撤去、増設などを求めてきたりすることもあったようです。

私の会場でも用意した仮設のカメラ台を撤去するよう依頼されましたが、柔軟に対応しました。

それは、OBSの会場責任者が誠意をもって、そして私たちに敬意を払いながら依頼してきたからです。

彼とは今でもメールのやり取りをする友人として付き合いを続けています。

次回も東京2020大会の私なりの総括を書きたいと思います。

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