所長コラム(102)「北京オリンピックでの『問題』②」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

少し時間は経ってしまいましたが、今回も北京オリンピックで起こった「問題」について書きたいと思います。

先月8日、オリンピックで初めて行われたのが「スキージャンプ混合団体」です。

日本の最初のジャンパーであったT選手が103メートルのジャンプを見せましたが、その後スーツの規定違反で失格となり、ポイントが剥奪されました。彼女が涙にくれる姿は痛々しいほどでした。

その後の報道等で「不可解」とされたのはほかにもオーストリアとドイツからも一人ずつ、ノルウェーから二人、女子選手のみ失格処分が出たことと、T選手が「いつもと違う形で測定が行われた」と発言したことでした。

一方、日本チームの女子コーチによる「太もも周りが規定よりも2センチ大きかった。オリンピックなのでスーツもギリギリを攻めている。1回目で着ていたスーツは、ノーマルヒルの試合で着ていたのと同じスーツだ」という発言が私は気になりました。

オリンピックで実施される競技には、全て競技規則と言われるものが制定されています。

この競技規則が厳格に適用され、競技者全員が規則を遵守することにより、公平な競技が担保されることになります。(過去には日本いじめの競技規則と言われるものもありましたが…)

従って、本当に「太もも周りが規定よりも2センチ大きかった」のであれば、失格となったとしても致し方ありません。

私たちの日常生活でも、例えば車を運転していてつい一時停止を履行しなかったときに警察官に止められて切符を切られたとしても、一時停止をしていなかったのであれば立派な交通法規違反です。「いつもこんなところに警察の人、いないのに…」と嘆いても意味がありませんよね。

ただし、毎日警察官が見ている交差点で毎日同じ形で一時停止をしていたのに、今日だけ切符を切られたのであれば、これは厳格に適用されていないということになります。日本のコーチの発言はこの裏返しでもあるように感じます。

つまり、今までOKだったのだから今回もOKだろうと「規則違反かもしれない」スーツを着させていたのではないかということです。

また、スキー競技の国際団体(FIS)からすると、男子と女子の規則の適用が違っていたとすれば、それも本来は問題です。

スキージャンプ混合団体は今回導入された新競技で、男子と女子が同じタイミングでスーツを計測したことがなかった、あるいは女子は競技普及の観点から甘く適用されていたのでは?とも報道されていました。

つまり、従来は女子選手に厳格ではない適用がされていて、そのことを問題視した(あるいは世間から問題視されることを恐れた)FISが適用方法を修正したという可能性もあります。

いずれにしても規則である以上、どのような形で適用するのかまで含めて明確にすべきでした。規則に明記する方法もあれば、主審の判断に一任する方法もあります。それも含めて各競技団体が見直すべき点であったと思います。

次回は「柔道の小学生全国大会の廃止」について書きたいと思います。

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