所長コラム(95)「東京2020大会、私なりの総括⑤」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

12月になりました。今年は一年がすごく早いような気がします。
思い返せば新型コロナウィルス感染症と東京2020大会くらいしか思い出せないように感じます。

さて、今回も私なりの東京2020大会の総括をしたいと思います。
やはり東京2020大会としては「新型コロナウィルス感染症対策」は外せないと思います。
ご存じの通り、結局オリンピックもパラリンピックも無観客開催ということになってしまいましたが、いずれも決断されたのは開幕直前でした。
私はこのことが、東京2020大会の組織委員会の体質を端的に表していると思います。
前回も書きましたが、組織委員会はいろいろなところから集められた人たちがいましたが、その中心は公務員(国・都)の出向でした。
ですので、イベント運営経験が豊富とはいえない方々が多かったことにより、判断が後ろ倒しされることによる運営現場への影響を感じ取ることが難しかったのではないか、というのが1点目です。

対応すべき多くの観客の方がいなくなるだけだから、運営は簡単になるのでは?と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
業務が失われたボランティアの方をどう扱うのかも大至急検討して連絡する必要がありましたし、観客がいらっしゃることで各方面に妥協してもらっていた座席割や動線(今回はアスリートとの接触を極力避けるべく、動線を明確に分けることが強く求められました)など、より理に適った形(あるいは希望に沿った形)に変更することはできるのか、など短い間に修正を求められることも多かったです。

2点目は出身国が違う人々が集うことによる基本的な新型コロナウィルス感染症対策の難しさが挙げられます。
組織委員会では各省庁も交えて検討された新型コロナウィルス感染症対策が会場に伝えられ、実施するように求められましたが、その詳細は結局各会場で実情に合わせた形で行うよう、任せられました。
私が担当した会場では、来場した各国要人から「消毒液の設置数が少ない」と言われて増やしました。
一方で、日本人に比べて海外の人はマスクをしたがらないということもあり、特に声を出すときにマスクをずらす人が多かったのには閉口しましたし、マスク着用の徹底には担当部署に相当知恵を絞ってもらったことを記憶しています。
その結果、IOCのバッハ会長から、私の会場での対応は素晴らしいと評価いただくことができました。担当部署には感謝の気持ちでいっぱいです。

次回も東京2020大会の新型コロナウィルス感染症対策について書きたいと思います。

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