
皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。
さて、本コラムもついに100回となりました。
お読みいただいた読者の皆様には感謝申し上げます。
ちょうど100回の区切りですので、今回まで東京2020大会について書きたいと思います。
ご存じの通り、東京2020大会ではほとんどの会場が無観客で開催されました。
やはり何より残念だったのは、日本の子どもたちを中心とした観客のみなさまに、あの光景を直に見ていただくことができなかったことです。
今回、日本選手団は27個の金メダルを含む、過去最高となる58個のメダルを獲得しました。
その様子を含めて、世界最高の選手たちが繰り広げる世界最高の戦いを見ることによる、日本や世界での将来へのポジティブな影響は計り知れないものであったと思っています。
現場にいるからこそ感じられる雰囲気などは、残念ながらテレビ中継では伝わりにくいものであると思っています。
無観客の会場を運営しながら、そのことは強く感じておりました。
私のチームで観客対応を担当していたメンバーが本当に残念がっていたことを思い出します。
無観客による会場運営への影響は「大きく空いた観客席のスペースをどう取り扱うか」でした。
そもそもは観客で満員になる前提で、それぞれのステークホルダー(SH)がどの位置に着席するかを配置していった訳ですが、その前提が直前で崩されました。
それにより、参加している選手団、放送局クルー、記者、フォトグラファーなどがよりよい環境を求めて一斉に主張をはじめました。
一方で、新型コロナウィルス感染症対策として選手と他の関係者とは明確に離隔を取る、できれば動線も分けてしまいたいという必要もあって、その方法を巡って関係FAによるミーティングを持ちました。
一方で従来の座席配置検討に従事していたメンバーとしては面白くない変更であることは違いなく、クレームも受けてしまいましたが、最終的には関係全体で合意に至ることができ、無事に収めることができたことを思い出します。
昨年報じられたところによると、無観客になったことで費用が削減されて入場券の払い戻しによる収入減に関わらず、追加での費用負担が生じなかったとのことでした。
ただし、本当に適切な支出額であったのかはしっかりと検討していただきたいと思います。
これは「払う必要のない支出」だけではなく、「本来払うべき支出」が削られていないかも含まれます。
今回の無観客の決定は非常に遅いタイミングでなされました。
それにより、すでに確保してしまっていた人材や資材をキャンセルできなかったところもあるはずです。
それらの会社に無理を押し付けていないか?というところにはなかなか目が届きません。
特に組織委員会として支出が削減されればいいではないか、という論調に押されて正しい商慣習を破壊してしまうことは、今後に悪い影響を及ぼしてしまいかねません。
適切に進めていただきたいと思っています。
まだ書き足りない点はありつつも10回に亘って書いた私なりの総括はここで区切りとしたいと思いますが、次回は北京オリンピックで生じた問題についてと思います。