所長コラム(121)「パリは来年」

皆様、明けましておめでとうございます。運動研究所の宮島です。

みなさんは新しい年をどのような年にされたいとお考えでしょうか。私はスポーツの明るい未来を感じられる一年であってほしいと思っています。昨年は、特に東京2020大会に関連した暗いニュースが続いてしまいました。私もかつて勤務していた電通に関する事件や疑惑もあって、騒がしい年末であったことを記憶しています。報道によれば事件が起こったのは私が電通を退社してから組織委員会に参加するまでの時期で、何が起こったのかを知り得る立場にはありませんでしたが、想像するに関係者にとって当該大会は「絶対に失敗できない」大会なのだ…という意識は相当強く働いたであろうとは思います。いずれにしても、今後明らかになっていくでしょう。

さて改めまして今年は2023年、パリオリンピック・パラリンピックがもう来年に迫りました。新型コロナウィルス感染症の影響で東京2020大会が1年延期されたとはいえ、あっという間に次のオリンピック・パラリンピックがやってきますね。年齢を重ねたこともあって、時間が過ぎるのが本当に速いと感じます。

パリ大会の新しいアイデアは既に我々が目にしているものもあり、エンブレムは史上初めてオリンピックとパラリンピックで同じデザインのもの(オリンピックのファイブリングとパラリンピックのスリーアギトスのみ異なる)が採用されましたし、開会式はやはり史上初めて競技場での実施ではなく、オリンピックはセーヌ川とその両岸、パラリンピックはコンコルド広場とシャンゼリゼ通りで行われるそうです。このような柔軟性は、もちろんIOCの担当者との言葉の問題などが皆無(IOCはフランス語と英語が公用語です)で、意思疎通がしやすいなどの理由もあるでしょうが、やはり東京2020の組織委員会では持ち得なかったものでもあるかなと思います。特に東京2020大会の時は「オリンピック・パラリンピックだから、通常では実施し得ない、特別なレベルのサービスを選手や来場者に提供しよう」としても様々な制約が課せられてしまい、ことごとく断念しているところを目にしました。特別措置法まで作られた大会であったのですが、各省庁や都の各部署(警察や消防を含む)は新しいやり方に対応できず、今までやってきたこと以外に踏み込むことはほぼありませんでした。むしろ新しいことにチャレンジして失敗を恐れるメンタリティが垣間見られたことを今でも思い出されます。

次回もパリオリンピック・パラリンピックについて書きたいと思います。

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