所長コラム(118)「冬の競技はなぜ見ない?」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

さて前回は、夏のオリンピック競技と比較して、冬の競技の人気は今一つのように感じる…と書きました。今回もこの点について書きたいと思います。

冬の競技が今一つ日本では定着しない理由はいくつかあると個人的には考えています。

まずは、できる場所が限られることです。現在の日本の気候や環境では、かつてはあったとされている「天然のスケートリンク」や「天然のジャンプ台」(もちろん小規模のものでしょうが)などが最早ないと感じます。そもそも相当量の降雪があったり、あるいは水が自然に凍結したりということが温暖化も加わって発生しにくくなっている上に、例えば池に氷が張ったとしても「万が一割れたら危険だから氷の上に乗ってはいけない」とされている場所が少なくないと耳にしたことがあります。(安全を確保する必要がないと主張している訳ではありませんので、念のため)

しかも、かつてはそういうことが生じていた場所も、現在では難しいということも温暖化で増えてしまっているようですね。スキー場が自然と降る雪では十分な降雪量と確保できず、人工雪を降らせるという話を耳にするのはここ数年で多くなりました。そうなると、スケートリンクやスキー場など人工的に環境を整えられた場所を用意する必要が生じます。必然的に、施設の整備ではなく、安全の確保も含めてコストが発生します。もちろん、この点は夏の競技でも同じことが言えますが、例えば体育館やプールは各学校にほぼ1つずつはありますので、冬の競技の施設とは比較にならないほどあると言えます。

そのような中で、昨今喧しいように一般の方々の所得は据え置かれたままです。さらに、この国は少子高齢化でアクティブに運動をする人が減っていきます。利用料を劇的に上げることも叶わない状況下では、当然収入は減少しますので、閉鎖する施設が出てくるのも無理からぬところでしょう。

さらに、残念なことにこの国では「知らないスポーツに興味を持たない」という方が多いように感じます。これは知的レベルが決して低くない国民性が影響しているのではないかと、私は個人的に考えています。「わからないことが恥ずかしい」と考える方が少なくないことから、知らない競技には興味を持たなくなってしまっていると思います。

次回も引き続きこのことについて書きたいと思います。

コメントは利用できません。