所長コラム(82)「スポーツの見方」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

さて前回は、日本人はそのスポーツをよく知らないから興味を持たないことが多いのでは?ということを書きました。

理由の一つは、昭和の時代には長く野球だけがお茶の間に届けられていて、その後サッカーが台頭したという経緯があるため、野球とサッカーに関する知識がこの国には多く流通しており、特に年配の方にはこの2つの競技のことをよく知っている人が多いです。
当然このような知識が家族や友人などに流通しますから、野球とサッカーのことはわかっているという人が増えています。
最近はバスケットボール情報の流通量も伸びていますかね。

次の理由として、日本では小学校に入ると何かの競技を選択して、その競技を本格的に始めることが多いため、その他の競技について知る(体感する、と言ってもいいかもしれません)機会がとても少ないということです。
競技を経験するということはその競技について知る(理解する)ために最も有効な手段ですが、その機会が非常に乏しいので、自分が経験した競技が一つだけという人は、誰かから聞く機会がなければその一つの競技以外は「わからない」となってしまいがちです。
この点は海外、特にアメリカなどに劣っているところだと思います。ご存じの通りアメリカではシーズンスポーツ制を取っているところが多いので、一人で3つくらいの競技をやることになりますので、当然知識も増えますし、知人がその競技の知識を持っている確率も上がりますよね。

そしてテレビです。私は「スター・マーケティング」と呼んでいるのですが、現在の日本のスポーツは勝った人よりも人気者をフィーチャーすることが少なくありません。
国際大会では「日本人選手は〇〇選手の五位が最高でした」という報道が多いです。また選手の人となりに密着した報道もよく目にしますが、各競技の本質を取り上げることが少ないように思います。
なので、別の競技で人気者が出ると、それまで注目されていた競技の人気がスーッと下がることもあります。

オリンピックは今まで知らなかった競技に触れる最高のチャンスです。ぜひこういう点にも注目してご覧いただければと思います。

次回は「楽しいスポーツ」ということについて書きたいと思います。

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