所長コラム(156)「不確実×不安定」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

さて前回は雨によって各競技が受ける影響に違いがありそうだということを書きました。

私は、一般にスポーツというものは「人間の行動に一定の制限を加えることによって不確実性を生み出し、その不確実性の下に両者(両チーム)が同じ条件で競い合うもの」と考えています。例えばサッカーであれば「体の手以外の部位を使ってのみボールを扱うことができる」という制限をゴールキーパーの選手以外に加えることで、ボールを扱う正確さを減少させて不確実性を生み出しています。野球であれば、小さくて速く飛んでくるボール細くてほぼ円柱状のバットで打ち返すという難易度の高いことを行わせることによって、思い通りに打ち返すことを難しくしています。生涯打率が3割を超すと名打者と言われるようですが、そのことからもヒットを打つということがどれほど難しいのかがわかります。

また競技によっては「広さと人数のバランス」で不確実性を生み出しているものもあります。例えばテニスの場合、一人(ダブルスでは二人)ではカバーするのが絶妙に難しい広さのコートでボールを打ち合います。甘いコースに打っても簡単に拾われてしまうので、いかに相手が拾えない厳しいコースを狙うか、あるいは相手を動かすことによって、拾えないエリアを広げるか、などの駆け引きが行われているものと考えています。他にもバレーボールでは「選手は一度ずつしかボールに触れられず、3回で相手コートに戻さなければならない」という制限を課していますし、バスケットボールでは「ボールを持ったままでは3歩以上歩けない」上に「非常に高いところにゴールを設置する」といった制限を加えています。

さて、ここで雨の影響です。雨が降ることによって屋外競技ではフィールド・オブ・プレー(Field of Play=FOP:競技麺のこと)の表面(Surface)が変化することがあります。滑りやすくなったり、ぬかるんだりすることで、晴天時には容易なプレーが荒天時には再現することが難しくなる場合もあります。雨によって視界が妨げられたり、競技用具が不安定になったりという影響も考えられます。これらを総合的に考慮した時に、その競技が持つ面白さが阻害されるのであれば「中止となる」という判断がなされるのではないでしょうか。かつてドラガン・ストイコビッチ選手(名古屋グランパス・当時)が雨の試合中にリフティングでボールを運んだシーンがありましたが、下手くそサッカー選手だった私には衝撃的でしたね。

次回は「ついにパリオリンピック開幕!」について書きたいと思います。

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