所長コラム(154)「宝物」

皆様、こんにちは。運動研究所の宮島です。

さて前回は子どもの頃から競技大会や強化選手を行うことが逆に競技力を削ぐのではないかということを書きました。

これも今まで当コラムで幾度か書いておりますが、まず子どもは体が成長しきっておりません。「スキャモンの発育曲線」などはよく言われますが、子どもの体は小学生の頃までに「完成」することはなく、未完成であるため、強度が足りないことも多くみられます。従って、この時期に競技力を向上するため、あるいは競技大会で好成績を残すために繰り返し練習を行うことによって、ケガ(外傷や傷害)をしてしまうことがあり得ます。子どもたちはケガをして休んでいる間に「ライバル」に試合出場の機会を奪われてしまうことを嫌がるがあまり、十分な回復期間を取らなかったり、ケガの痛みを指導者や両親に隠してしまったり、かえって悪化させてしまうリスクも多くなると思います。

さらには子どもの成長には大きな個人差があります。そんな中で同じ学年というくくりで競争を行うと当然成長する期間が短い子(早生まれの子が多いでしょう)は成長が早い子に敵わないことが多くなって、競技をすることが面白くなくなり、その競技そのものをやめてしまうこともあります。そのような状況で「君はナショナルチームの一員だ」とライバルが選ばれてしまったら、子どももあきらめてしまう場合が増えてしまうのではないでしょうか。

特に現在は激しい少子化が進んでいます。子どもたちが年々多く生まれてくる時代なら百歩譲ったとしても、我々を魅了する日本代表チームや選手が志半ばで敗れた「多くの屍」の上にいるような時代はもうとっくに過ぎ去ったと私は考えます。子どもはこの国の宝物と考えて、大切に社会として育てる必要があるのではないでしょうか。

次回は「スポーツと雨」について書きたいと思います。

コメントは利用できません。